虫歯の進行段階には5段階あります。
黒くても虫歯は浅く治す必要ないもの、一見穴があいていないようでも内部で広がっているものもあります。
患者さんが見た目、色や症状で自己判断するのは難しいものです。気になることは歯科医院で相談してみてください。
虫歯になるためには3つの条件があり、「歯」と「虫歯菌」と「食べ物」になります。まず歯の質ですが、結晶構造が弱かったりすると虫歯になりやいです。大して磨いていないのに虫歯にならない方は、歯が生まれもって強いという特性があるかもしれません。
次に、お口の中に虫歯菌がいること。虫歯菌は、多かれ少なかれ、誰の口の中にもいます。この菌のかたまりを歯垢(しこう)またはプラークと呼びます。(歯垢の中には、むし歯菌以外の細菌もたくさん住んでいます。)
そこへ、食物が入ってくることが必要です。特に虫歯菌の好きなものは、ショ糖などの糖です。
むし歯菌が食べ物の中の糖を取り込み、酸を産生して、口の中を酸性にして、歯の表面を溶かすのです。これを歯の脱灰といいます。 食事するたびに、目に見えないレベルで、歯の表面は解け脱灰をおこします。
ところが、食べない時間があると、その間に唾液は排出され、お口の中が、酸性から中性に緩衝されます。また、唾液中のカルシウムやリンが溶けた歯に取り込まれ、また、いつもと同じ状態に戻ろうとします。これを歯の再石灰化といいます。ステファンのカーブという図がわかりやすいです。
このとき、脱灰する量より、再石灰化する量の方が多ければ虫歯になります。虫歯が多い方の共通する事は、頻繁にショ糖を摂取している事です。虫歯予防の第一歩はショ糖の摂取をコントロールです。だらだらと甘い物を取る事を控えましょう。
処置
C0 エナメル質表面 経過観察。
C1 エナメル質内 経過観察、もしくは修復処置(コンポジットレジンなどのつめ物)。
C2 象牙質におよぶ 虫歯を除去して修復処置(コンポジットレジンやインレーなどのつめ物)、もしくは補綴処置(クラウやアンレーなどのかぶせ物)。
C3 歯髄に達する 経をとり、神経のあった管をきれいにして、管を密閉させる薬材をいれる。その後、歯を補強(支台築造)し補綴処置(かぶせ物)をする。
C4 歯根のみ初期、神経のあった管をきれいにして、管を密閉させる薬材をいれる。その後、歯を補強(支台築造)し補綴処置(かぶせ物)をする。
末期、抜歯。
C1~C2の治療例
コンポジットレジン修復
来院時、小さく穴があいています。症状はありませんでした。
虫歯を除去すると、内部で広がっていました。
コンポジットレジン修復後
コンポジットレジン修復後
C3~C4の治療例
歯内治療(根管治療)
頬側に大きな虫歯があり、神経にまで達しています。
根の先(根尖)に病巣を作っていて、膿んでいます
歯の上部(歯冠部)の虫歯を除去したところ。歯肉より深い虫歯でした。
根管治療が正確に出来るよう、仮の囲いをコンポジットレジン修復にて行います。
4つの根の内、2つの根は奥でつながっていて、感染除去が難しい歯です。
根管内の感染源を徹底的に除去し、再感染しづらいMTAセメントを詰めます。
MTAセメントを詰めた後のレントゲン
感染根管治療のポイントは2つです。
1つは、根管内の感染源を徹底的に除去することです。感染が除去出来れば腫れや痛み、膿がでるなどの症状は消失します。
そしてもう1つは、根管内を正確に密閉することです。これができないと、再度根管内は感染して再び感染根管になり、腫れや痛み、膿の出口(瘻孔、サイナストラクト)がでるなどの症状が再発します。
感染源の除去と根管の密閉、この2つのどちらかでも不十分ですと、感染根管治療の長期的な成功が得られないため、根管治療は難しい治療と言えます。
まずは、感染源の除去が重要となります。しかし、根管は下の写真のように1本の管で単純形態をしているものから、枝分かれしていたり、2本の管が先端部で合流していたりと複雑な形態をしているため治療技術と経験を要します。ここは歯科医師によって技術レベルに大きく差があるところです。また、近年マイクロスコープの登場で根管内を拡大してみることができるようになり、感染源を目視の上、直接除去できるようになり根管治療の予知性が上がりました。
次のポイントの 根管内の正確に密閉する方法や材料もいくつかあります。近年MTAセメントという従来の根管充填材料とはまったく違う材料もでてきて、感染根管治療の成功率を上げております。根管の形態や状態で使い分けしていくべきです。
根管治療は、出来る限り歯を保存可能な状態に改善させるのが目的です。咬み合わせが強い方などは、根管治療後に大きな歯根破折が生じたりし、どうしても早期に抜歯になってしまうこともあります。新たに生えてきた状態によみがえる訳では無いこともご理解ください。